アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

整体生活・野口整体と生きることをひとつに

初春

 正月だというのに、私はココアパウダーとカカオ72%のクーベルチュールチョコでつくるホットチョコレートに凝っていて、毎日飲んでいた。ま、いいかと思いながら。

 毎年不思議に感じるのは、年末になると山のようにタコが売りだされることである。我が郷里ではお正月にタコを食べる習慣がない(うちだけかな?)のだ。こういう節句もの?は地域差が出るので、それはそれで面白いのだけど。

 でも初詣の帰り、たこ焼き食べたな…。店構え、店主の風体、小汚さ、どれをとってもかなりの昭和感でありながら狙っていないというお店があって、そこのたこ焼きを初めて食べた。これがお店と店主からは想像できないような、ふんわりした品の良い口当たりで、さすが長年にわたる人気店なだけはある。昔、大阪の下町ではたこ焼きが一個から買える(バラ売り)という話を聞いたことがあるが、ここは5個(200円)から買うことができる。

 そういうわけで、古式ゆかしいお正月を過ごしたわけではないが、のどかなお正月だった。

 しかし、年明け早々感染の第六波が来た…。沖縄、山口、広島で米軍基地のクラスターが拡散して問題になっている。でも、家の近くの米軍住宅地(神奈川県)では年末から日本人居住区域立ち入り禁止令(Off limits)が出ていたようで、アメリカ人家族の姿はすでにない。横須賀は分からないが、小田急線沿線の基地は意外と対応が早かったと思う。あまり不安にならないでほしい。

 2020年4月7日、最初に緊急事態宣言が出た時、首都圏で雪が降ったのが印象的だった。そして今日、また首都圏では雪が積もっている。雪の白さには浮世離れした清浄さがあって、騒々しい俗世が鎮まり、浄められていくような気がする。それは私の願望なのかもしれないが。

 これからしばらくの間、オミクロン株は拡大していくとは思うが、対抗措置をとるよりも、過ぎ去るのを待つ東洋的静かさを保ちたい。そして、水を飲むこと。2月初めまでは、一口でもいいから水を飲むようにしてほしい(温かい飲み物以外に)。まだ寒くて飲みにくかったら、お風呂で湯船に浸かっている時、体に沁みとおるよう一口ずつゆっくり飲むのがいいだろう。水道の水でかまわない。

 そういえばお正月、私は野生のミツバを摘んでお雑煮に入れた。整体の師匠は名古屋の人で、名古屋の雑煮はすまし汁に餅と青菜(もち菜)のみだと言っていたのを思い出し、真似てみたのだ。尾張徳川の武家風なのだろうか。

 今のミツバは瑞々しく小さな葉だが、味も香りもしっかりとしており、これは次の季節の準備を万端整えて待っている姿なのだと思った。人間の身体も来る季節の準備に入っていくことを、水を一口飲んで、思い起こしてほしい。

ひとり言

春になると何故花がこのように美しく、晴れ晴れと咲くのだろうか。

冬になると真白い雪で、何故この地が清められるのであろうか。

寒いからである、暖かいからである、と答える人もあるが、それだけではこれらが美しく、清らかな理由にならない。

すべては心にある。

雲の悠々としているのでも、心にあるのである。

野口晴哉『風声明語』