一都三県に緊急事態宣言が出ることになった。
今回は前回とはずいぶん違う感じがする。緊張感が走るというより、言葉にならない絶望感、無気力感を感じる。
現在、医療崩壊が喧伝されているが、忘れてはならないことがある。それは、
・重化する人の割合は 約1.6%(50歳代以下で0.3%、60歳代以上で8.5%)、
・死亡する人の割合は 約1.0%(50歳代以下で0.06%、60歳代以上で5.7%)
(厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症の“いま”についての10の知識」)
ということだ。
ハイリスク群とされている範囲外の人は、新型コロナウイルスに感染したとしても、すぐに命取りになるようなことはない。
感染者数が増えれば重症者も増え、それが医療崩壊につながるので緊急事態宣言、ということなのだが、心の中で「感染=重症化」という連想が働くようになるのは、実際に感染した時の経過に悪影響を及ぼす恐れがある。混乱せずに頭を整理しておいた方がいい。
今、予防策を何もしていない人は少数であり、その上でいつ誰が感染しても不思議ではない段階なのだから、感染自体を過剰に恐れることは百害あって一利なし、である。
最前線で働く感染症専門医の記事によると、軽症者の治療は、検査の後、多くの場合は次のように進められる。
・原則として治療薬は使用されない。
(臨床研究や適応外使用という形で、処方が行われることがある)
・軽症の新型コロナに承認されている治療薬も国内ではまだない。これは軽症の人のほとんどが自然と治癒するため。自身で水分摂取も可能であれば、点滴も不要。
(発熱や咳などの症状に応じて、解熱薬や咳止めなどが処方される。)
これを読む限りでは、軽症者は整体で言うところの「病症を経過する」のが第一、と言ってもいいようだが、それが現状のようだ。
蛇足だが、私が以前住んでいた場所でデング熱ウイルスを持った蚊が発見されたことがあった。その時、デング熱の治療法の一つである「経口補水療法」がどういうものかを調べたのたが、「水を飲むこと」とあって驚いたことがある。デング熱も治療薬がないので、こうして経過を待つのだという。
なお「経口補水療法」はcovid-19軽症者にも重要であり、整体では例年、12月~2月半ばぐらいまで、皆に水を飲むように指導する。
最近、水を飲むことが血液の質と循環をよい状態に保つ上で重要だと分かり、老人には推奨されているが、冬の乾燥した時期には若い人もお勧めしたい。
また野口整体の立場からは、もし熱があっても発汗せず、発汗しないまま熱が急に下がるようなことがあったら、経過が悪いと観た方が良いので注意してほしい。これは他の場合の発熱も同様だ。
感染症の研究者、大槻公一教授は2009年の新型インフルエンザについて次のように述べている。
今回(2009年)の新型インフルエンザウイルスについていえば、もっとも危惧されるのは、冬の間にそれが一人勝ちしたことです。例年の冬なら、ソ連型やホンコン型、B型がそれぞれ競り合って出現していたために、どれか一つだけが爆発的に広がるということがありませんでした。
ところが、昨年の冬は、新型以外のインフルエンザウイルスがほとんど消えました。これらの季節性インフルエンザウイルスが消滅して過去のウイルスとなり、次の冬に新型インフルエンザウイルスが猛威をふるうことも心配されます。
実際に今、地球上で一番流行しているのは09年の新型インフルエンザだと言われている。あの新型インフルエンザは消滅したわけではなく、私たちが騒ぐことをやめたのだそうだ。
そして今回の新型コロナウイルスも、インフルエンザウイルスを抑えて一人勝ちしている。コロナウイルスの世界でも、種の多様性が失われているのだろうか。
それともワクチンや治療薬などの開発で追い込まれたコロナウイルス一族が、生き残りをかけて新世代を生み出そうとしているのだろうか。
新型コロナウイルスのパンデミックには、早くから人間と自然の関係が問題として指摘されていた。これは、個体のレベルで言えば、自然とは体のはたらき、生命と言うことができる。
もう少し考えて、書いてみることにしよう。