アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

整体生活・野口整体と生きることをひとつに

他愛のない体癖の話 前後型

 野口整体には体癖(詳細は野口晴哉『体癖』を参照)という人の観方がある。

 正確には背骨の観察、無為動作、その人(心と身体両面で)の刺激反応の仕方などを通して判断するものだが(体量配分計は道場にあるけど私はやったことがない)、面白い写真を見つけたので、ちょっと気楽な体癖観察をやってみようと思う。今回は前後型。

 

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チェ・ゲバラ

チェ・ゲバラ

 これは「世界で最も危険な男」と呼ばれたキューバの革命家チェ・ゲバラの写真で、ネットで偶然見かけたものだ。この写真には次のようなキャプションがついていた。 

時は1963年6月4日夜半。ハバナ国立テレビ放送局のスタジオで一ヶ月のソ連訪問から帰ったカストロ首相の帰国報告演説を観客席で聞いているゲバラたち、政府、党の幹部たち。1962年10月のソ連キューバに持ち込んだミサイルをめぐっての米、ソ間の所謂「キューバ危機」から半年、キューバの置かれている立場と、今回のソ連訪問関連と思われる演説内容からゲバラの深刻な表情が伺えます。

 「ゲバラの深刻な表情」とあるけれど、野口整体の観方からいうと、この体勢は彼がくたびれて「休息する」時のものだ。かっこいい人は何をやってもかっこいいのだから別にいいのだが、深刻に事態を捉え考えようとしている姿勢ではない。本人にそういうつもりはないかもしれないが、体は弛もうとしているのだ。この人が思考する時はロダンの彫刻「考える人」のように前にかがむだろう。

 電車の中などでも、こんなふうにシートに座って寝ているスーツ姿の人が時々いる。私はこんな姿勢では滑り落ちそうで眠れないけれど、人によってはこれが休まる姿勢なのだ。

 ついでにウィキペディアチェ・ゲバラのページを見ると、次のような記述があった。

 未熟児として生まれ肺炎を患い、2歳のとき重度の喘息と診断された。両親は息子の健康を第一とし、喘息の治療に良い環境を求めて数回転居している。幼い頃は痙攣を伴う喘息の発作で生命の危機に陥ることがあり、その度に酸素吸入器を使用して回復するという状態であった。しかしラグビーなど激しいスポーツを愛好し、プレイ中に発作を起こしては酸素吸入器を使用し、また試合にもどっていた。重度の喘息は彼を生涯苦しめた。医学生時代には友人と「タックル」というラグビー雑誌を発行し、自ら編集もつとめた。 

 休息の時にとる姿勢、こういう性質、また言動・ルックスともに、政治家としては過剰な位にかっこいいこの人の体癖は?というと前後型、喘息はあるけれど本来の素質は五種であると思う。

 それに写真では足を交差させている。これは捻れ型の人が体を弛める時にとる姿勢でもある。結構下肢も太くて発達しているし、闘争的な捻れ型もあるのだろう。

 

ジョン・レノン

  学生のころ、ジョン・レノンの「Rock’n Roll」というアルバムが好きな先輩がいた。これは全曲古いロックとR&Bのカバー(収録曲で有名なのはStand by me)で、ジョン・レノンが大好きな人の中でこればかり聞くという人は少ないだろうと思う。

 しかし彼は「社会的な問題とか、Love and Peaceとか、東洋思想なんかの曲や、内面的な重い曲より、これの方が愉しそうにやっているから好き」と言った。

 私は当時、ジョン・レノンは結構好きだったから、ほかの曲もいいのにな・・・と思ったけれど、「Rock’n Roll」の愉しさというのは独特だとは思った。

 その後、私は体癖を勉強してみて、彼の言葉はジョン・レノンの本質をついていたと思うようになった。今聞いても、確かに「Rock’n Roll」は全曲何の思想性もないけれど、愉しいし気楽に聴ける。おそらくこれは、ジョン・レノンにも前後型があるためではないかと思う。もしかするとジョン・レノンもこれが自分の本質だと思っていたのかもしれない。

 表の顔ではなく、その人の本質を理解するために体癖はある!というのは分かっているけれど、うーん、そうなのか・・・。私も子どもだったなあ。

 

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ジョン・レノン。首が上方向ではなく、前方に向かってついている。

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Abbey Road」ジャケット。一番先頭のジョンは肩が上がり目立つ。やや前傾している。