アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

整体生活・野口整体と生きることをひとつに

下腹の力

 私は、本当に大切だと思っているのに、骨盤底筋群の話をしようとすると言葉が出にくくなってしまう。こういうのは天心じゃないな…と思うのだが、場所的に表現が難しいというか、ね。

 ちなみに骨盤底筋群というのは、坐骨と坐骨の間、恥骨と尾骨の間をつないでいる、骨盤の中にある筋肉群の総称、つまり「お股」のこと。

 前回ワクチンのことを少し書いた後、老婆心ながら、できるだけ副反応やショックを軽減するためにできることはないか?と思うようになった。

 しかも、私が気になるのは「早く打ちたくて接種を待ち望んでいる人」ではない。「接種が不安でできれば打ちたくないが、せざるを得ない」という人である。

 これは接種が正しいとか間違っているとかではない。この時点で主体的ではなく、消極的になっていることが、経過に影響する恐れがあるのだ。

 そこで今回は、普段言い難い、肛門を締めることについて突っ込んで書いてみたい。厳しいという噂のはてなコードに引っかかることもないだろう。(冗談!)

 これは、絶対確実に副反応等が無くなるのではなく、反応は起こる時は起こる不可避の過程だとは思うが、心に分裂や葛藤のある状態で受けるのは避けて欲しい。そのためのものである。

 今、骨盤底筋群のトレーニングが注目されていて、特に産後や更年期の女性、高齢者のための体操などが取り上げられているが、多くのプログラムに「肛門を締める」ことが入っている。

 骨盤底筋群は生殖器や排泄器と一体となって働く筋肉であり、随意と不随意が重なっている。その中で、肛門は括約が意識的にしやすいのである。

 野口整体では、男女問わず肛門の締まり加減というのを重視していて(それだけ見ているわけではないが)、何か強いショック状態になると肛門とは弛んでしまうものである。

 昔、野口晴哉は、海で溺れた人が何人も運び込まれた時、今で言うトリアージの基準として肛門の締りを見たと言う。

 肛門は、心臓の状態、頭の緊張とも密接に関わっている。下腹の力が抜けるとか、腰が抜けるとか、体全体に及ぶショック状態の焦点でもあるのだ。

 肛門を締めることは、整体のみならず、日本の伝統的な身体技法(武道や舞踊など)でもよく言われることで、ヨーガでも重視されている。

 ただ、いざという時キュッと締めて緊張させることだけ覚えても、健康保持には役立たないこともある。いつもこの部が過緊張という問題がある人も多い。

 フロイトではないが、深層心理と密接な処であり、鍛えるのではなく弾力という理解が必要だ。

 ここでは、心を落ち着け、下腹に力が入り、心身が少しでも安定した状態で接種できることを目標にしたい。

 まず、接種時の待ち時間。その時が近づいたら、膝をある程度開いて、骨盤を立てて坐る。お尻の下(腿の裏)に坐骨という骨があり、それが左右とも座面に着くようにすると良い。

 そして、肛門を閉める練習をする。息を吸って吐いて、を何度かした後、肛門に注意を向け、息を吐きながら、入り口から上方に、らせん状にエネルギーが流れるイメージを持つ。吸いに移ったらやめる。

 感じがつかめたら、そのイメージを保って息を吐きながら肛門を締める。キュっと力を入れるより、吐く息に合わせてゆっくりと引き絞る感じだ。吸う時は自然に放す。締めるのは「吸う時」ではなく「吐く時」にやること。

 これができると、下腹に力が入って来るので、自ずと肩の力は抜けてくる。他人には肛門締めてるなんてことは分からないので、集中して。

 注射時に「力を抜いて」と言われると思うが、意外と難しいので、そのためにもこのようにすると良いだろう。肛門が締まっていると、心身の安定も保たれる。

 こうして、まず落ちついて、心と体をひとつにまとめるということが、事に臨む上で重要である。参考にしていただけたら嬉しく思う。