アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

野口整体を探究・実践する「整体生活」について

免疫系の自然と、病症の経過ー新型コロナウイルスを通して学んだこと

免疫系の自然と病症の経過

 最近、ちょっと書いては捨て…ということばかりやっていたのだが、本ブログの「感染症と時代―新型コロナウイルスの意味すること」と一連の新型コロナウイルスつながりの記事を読む人が意外と多くなっていることに気づいた。

 多いと言っても「バズった」などという数字では全くなく、このブログとしてはという意味なのだが、今のように人間という種と世界全体が病んでいるかのような時には、なぜ、今、この時にこのような事態が起きたのか、それは自分にとってどんな意味があるのか、という問いがなぜか湧いてくる。

 そして理解することで、自分の置かれている状況に主体的にコミットし、適応していこうとするのが、人間という生き物なのだろう。

 今、covid-19は無症状感染者が現在分かっている感染者数よりもはるかに多いこと、劇症化する場合は、ウイルスの害毒というより、免疫系の過剰反応によることが多いということがわかってきている。様々な理由で免疫系が正常性を失っている人が多いことが、問題を大きく、複雑にしているのだろう。

 私はこれから健康を考える上で、野口整体を伝えていく上で、「病症を経過する」ことを伝えていくのが、最も大切なだと痛感している。野口先生が晩年尽力したのも病症についての正しい教育で、私の師も「病症の経過は野口整体の最も革新的なところで、他のどこにもない」と言っていたが、この新型コロナウイルス騒動で、あらためてそれを再認識することになった。

 それで、免疫系の勉強をしていたのだが、熊本大学の免疫学教室のHPでちょっと驚くようなことが書かれていた。それは「麻疹ウイルスの感染後に、がん(白血病など)の病態が回復したという報告がある」というものだ。

 私の師匠は50代の時、あることで心の打撲を負い、仙椎四番の左に穴が開いた様になって、それまでのように腰の力が使えなくなってしまった。

 頭の緊張が弛みにくいこと、この弛みのために下痢が必要な傾向は若い時からあったようだが、その後もずっと仙椎四番の状態は変わらず、この打撲で潰瘍性大腸炎のような状態になり、綱渡りのようなバランスをとっていたのだと思う。打撲の後、50代でがんになっても不思議はなかった。

 そのため、先生は自分の状態を指導ができるレベルに保つことに苦心していて、そういう中で著書を出し、新しい人生が始まった時、麻疹にかかった。来ていた子どもから感染したそうだ。

 これは私の想像だが、麻疹にかかった時、これで一度は命を救われたのではないかと思う。本を出してから自分は大きく変わったと言っていたが、無意識下での大きな変動が心にも影響を与えたのではないだろうか。

 しかし、がんという状態をつくり、命取りになったのもこの問題だった。その後、ままた絶望するほどのショックがあり、私が見るようになったころは、仙椎四番左の状況が悪化し、症状も非常に激しくなって、常態化するようになっていたのだった。

 また、野口整体では捻れ型体癖のある人だけの病気と観ている帯状疱疹のウイルスは常在菌で、ストレスなどで免疫バランスが崩れた時、発症する。

 私は以前、NHKのZeroという科学番組で、帯状疱疹ヘルペスウイルスが出す物質が悪性脳腫瘍の増殖を抑えるという研究を見たことがある。帯状疱疹はきちんと経過すれば二度とかからないが、捻れ型を一度だけ悪性腫瘍から命を守ってくれる「神の見えざる手」なのかもしれない。

 その他、丸山ワクチンでも有名な結核菌と癌との関係(これは野口先生がよく言っているし、今は膀胱がんにBCGを使う)、インフルエンザウイルスと白血病、水痘とリンパ腫などの報告があるが、どんなウイルスにどんな応答があるかは多様であることが多いそうだ。

 免疫系というのは「自己と非自己」を分別する働きだと言われるが、非自己を徹底的に排除するだけではなく、ある程度の寛容性を持っている。

 そして口、鼻、胃、小腸・大腸、皮膚などに常在菌が細菌叢をつくっていて、体内で細菌やウイルスとの共生関係というバランスが取れた状態が健康、自然な状態なのであり、細菌叢内のバランスの崩れが疾患を起こすこともあるという。

 この他、腰椎5番と免疫系など整体にとって興味深い研究成果もあるのだが、ともかく今、新型コロナウイルスの完全制圧は不可能というのが現実で、これから先、新たなウイルスが登場する可能性は無限大なのだ。

 ウイルスというのが自然の一部なのだとしたら、東日本大震災の時、被災者の自然と対立しない、共生的な伝統的自然観と、自然を受容する態度を世界が称賛したことを思い出して、付き合っていく必要があると思う。

 しかし、これまで体を整える習慣も、体の変動にどう対処するかという腹をくくる経験も無い人に、今、体も見ないで「薬を飲むな」などと言うことはできない。不安になれば状態は悪化する。基礎疾患があって、常用する薬があればなおさらだ。

 だからこそ必要なのが、普段から「病症を経過する」積み重ねを通じ、免疫系の能力を高め、信頼できる状態を保つ=体の自然と弾力を保ち、整えることなのだ。私はこれが、やがて訪れる死に対する態度を育てる教育ともなると確信している。

※病症を経過する

 症状が起きた時、それを薬などですぐに排除しようとしたり、病原菌(ウイルス)などを即やっつけようとしたりせずに、体のリアクションとしての自律的な全過程を全うすること。こうして、体全体の機能が正常性を保つようにし、過敏(過剰反応)・鈍り(無抵抗・無反応)が正される。

 野口整体の個人指導では、経過が可能な状態であるかどうかを見きわめ、経過ができるように体を整えることを目的としている。

 野口晴哉『風邪の効用』では、風邪の症状によって弛むことができない状態が弛み、心身が弾力を取り戻し刷新していくことの意味が説かれている。

※追記

 Wired.jpに、

「普通の風邪」による免疫が新型コロナウイルスを撃退する? 新たな研究結果が意味すること 

という記事が掲載された。普段の風邪というものを知るためにも読んでみてほしい。

そして、免疫系は経験を通じて発達するものであることも併せて知ってほしい。

 新型コロナウイルス(正式名称は「SARS-CoV-2」)に感染したことのない人たちでも、このウイルスに反応する免疫細胞をすでに持っている可能性がある──。そんな研究結果が、このほど明らかになった。過去に風邪の原因となるコロナウイルスに感染していたことで、新型コロナウイルスに対しても「交差反応」する免疫がつくられたと考えられる例が、2つの研究グループから発表されたのである。