アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

整体生活・野口整体と生きることをひとつに

時薬

 活元会の帰り道、いつも寄る八百屋さんに十六ささげがあった。十六ささげというのは30センチぐらいある長いさやいんげんのような野菜で、昔からある在来種の野菜である。これと香川県のにんにく、鳥取の西瓜、野生種らしい地元産みょうがを買うことにした。

 このお店にはスーパーではあまり見かけない野菜、地元で採れた野菜などがあって、見るだけでも楽しい。十六ささげは炒め煮にしてすりごまで和えてみた。いんげんより柔らかいが味は濃い。これとみょうがをたっぷり入れたそうめんで、本日の夕飯は完成である。粗食だが夏野菜の中にある太陽エネルギーが摂れたような気がした。

 先日は近郊農家のとれたて茄子が手に入ったので、お昼に茄子のパンケーキ?を作った。これは国産小麦のお菓子とパンのレシピ本にあった料理で、私のお気に入りカンタン料理である。ただ本では料理の名前が「なすのメランツァーネ」とされており、私は長いこと「メランツァーネ」という料理と思っていたのだが、最近になってメランツァーネは茄子という意味だと知った。

 きっとイタリアでも家庭で作って食べるような料理だろうから、正確な名前がないのかもしれないが、いくらなんでも「なすの茄子」ではないだろう。イタリアで実際に何と呼ばれているのか知りたいところである。

 そして夜は鯖寿司。初めて自作したしめ鯖がおいしくできていたのに感動した。鯖もデパートの鮮魚売り場で買った良い鯖ではあったが、なんで今まで自分で作らなかったんだろう…と反省する位だ。ついでに稲荷寿司も作った。

 まあこんな風に私がせっせと食べ物を作る時というのは、疲れた状態から身体が切り替わろうとする時で、エネルギー補給と気分転換を兼ねている。

 私の場合、焼茄子の味噌汁とか、地味に手のかかるものに気を集注させて作るのが良く、ステーキなど食べてもあまり元気になる気がしない。今は夏の光を浴びて育った元気な野菜を食べると、太陽エネルギーを食べているような気がする。

 少し前に父が手術をしたのだが、術後の回復が思うようにいっていないようで、それがちょっと気になっている。本人が漢方に関心があるようで、市立病院の漢方外来に良い感じの医師がいることを伝えた。ただ、漢方を症状に適した薬を処方してもらってそれを飲むという西洋医学の治療と同じように考える人が多いのだが、それは違う。私は漢方薬そのものを本格的に学んだわけではないが、診断即治療という東洋医学の考え方を知らないと、意味がなくなってしまうと思っている。

 難しいことは置いておくとしても、とにかく患者自身が自分の体を理解すること、現在の状態と問題を理解することが何より大切で、医師の診断は病名をつけたり薬の処方のためだけではなく、相手の体を理解するためである。焦点の当て方、理解の仕方には相違があるが、野口整体もその点は東洋医学の考え方と同様だ。

 簡単にそのことを伝えてみたけれど、伝わったかどうか?まあしばらく様子見である。

 先端医療であるロボット支援手術は、その後ドクターによる詳細なレポートが厚生労働省に送られるというが、父の手術は成功として報告されるだろう。しかしその後の回復過程は時薬である。時薬というのはいい言葉だが、今はちょっとやるせない思いでいる。