アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

整体生活・野口整体と生きることをひとつに

野口晴哉著作全集がやってきた

 若い人は知らない人も多いかもしれないが、1996年8月19日、Jamiroquaiの「Virtual Insanity」が世に出た。ちょうど25年前の今頃だ。

 当時はとにかく今1番おしゃれな楽曲という扱いで、私などは何となく「好き」と言いにくかったのだが、本当はお気に入りだった。MVもカッコよく、いろんな賞をさらったそうだから、その印象が強い人もいるかもしれない。

 ここ数日、この曲を思い出して聴いていた。何となく今の気分に合っていたのだ。その流れで、2016年位のliveをyoutubeで見たのだが、あの当時よりも普通の人化して、呼吸も浅いしキレがないような気が…。ダンスも無かったし。

 アレンジは大人っぽくて良いと思ったけれど、やっぱり当時の印象が鮮烈だったからか。当時のMVは今見ても古い感じがしないのだが。楽曲にも、歌う本人(JK)にも、旬というのがあるのかもしれない。一世を風靡するというのは難しい。

 そんなことを思っていたら、古い友だち(と言ってもいいのかな?)から連絡があって、少々不思議なやり取りをした後、その人が不意に野口晴哉著作全集をプレゼントしてくれた。

 師匠は持っていたので、読んだことがないわけではないが、私は全集を持っていなかった。この全集は手に入りにくい上、容易に買えるお値段ではない。

 だから私は、送りましたという連絡が来た時、遠慮の気持ちは全然起きなくて、ほとんど運命というか、カイロスを感じた。感動し、感謝や嬉しいという気持ちが湧いたのはその後だった。

 この人は本当に不思議な人で、私の節目に魂の書ともいうべき本を与えてくれる。だから友だちと言って良いのか分からないのだが、向こうにもそういう宇宙に定められた義務があるのかもしれない(勝手な言い草)。

 こうして私は手にすることを半ば諦めていた全集を手にしたのだった。

 私が全集の中で好きなのは、整体創成期の初期論集だが、同時に師匠が語っていた野口晴哉最晩年のことを思い出す。

 異論はあると思うが、私の先生は、1970年に入る頃から、野口先生は元気がなくなっていった、と言っていた。先生自身1964年入門で、晩年の弟子に当たるのだが、そう感じたようだ。

 先生は、亡くなる前年位の月刊全生1月号掲載の野口先生の写真を「よくこういう写真を載せると思う」と言ったのをよく覚えている。確かに野口先生は、写真を撮られるのを拒んでいるような様子で、これまでとは違う表情だった。

 それでもお約束のように写真を載せる鈍さと強引さが、私の師匠は嫌だったのだろう。きつと、野口先生も。これは、相手の感じ方を無視した、整体からは遠い態度だ。

 私自身も、1964年前後の月刊全生には活気があるし、講義録も熱気があって内容が濃いと思う。野口先生にとって50代は円熟期であり、私の先生はその頃入門したのだ。

 戦後の長寿時代に入って、整体の目標を「50代を長くする」と説いた理由がよく分かる。きっと、天才治療家の名をほしいままにした若い時より、ずっといい時代だったに違いない。

 それが変わってしまったのはなぜだったのか。そのことも考えながら、giftそのものの全集を読んでいこうと思う。

Jamiroquai Virtual Insanity

https://youtu.be/4JkIs37a2JE