アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

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Grass fedのステーキと要求

 先日、食肉売り場でオーガニック・ビーフのステーキ肉(オーストラリア産)を見かけた。私はその時たまたま商品券を持っていて、しかもお値打ちになっていたので、エイ!と買ってみた。

 今、肉を食べたいという要求は減ってきているが、私は中学生~20歳前ぐらいまで、牛肉が好きでよく食べていた。それというのも、父が海外出張(アメリカ)に行く度、ステーキ肉の塊を買ってきたからだ。

 日本ではアメリカ牛=安いけど大味、いうのが定評になっていて、そういう実感もある。しかし理由は分からないが、実際にアメリカでステーキを食べた人はおいしかったという人が多く、そのお土産の肉もおいしかった。霜降り和牛より、噛みしめると味が出るその肉の方が、ステーキには良かったような気がする。

 そういうわけで、私はあの頃に食べた肉ぐらいおいしい肉はない!と思っていた。まあ、今振り返ると、あの当時、私は脳と体が発達する時期で、その時の体の要求にあっていたから、ことさらおいしく感じたということもあるだろう。

 でも、なんだかオーガニック・ビーフというものが食べてみたくなって、衝動買いしてしまったのだが、食べて見ると、昔食べたあの肉を思い出させるような味だった。

 パッケージを見ると「grass fed」(牧草飼育)とある。うーん、あの昔食べた肉もgrass fedだったのだろうか。今回の肉はもうちょっと硬めだが、噛んだ時に出てくる味が似ている。

 そういえば、子どもの時熱中して読んだ『大草原の小さな家』(福音館書店)には、未開の大草原(Prairie)を駆ける牛を追って移動生活をする、ノマド的カウボーイが出てきたから、昔はアメリカでも穀物ではなくgrass fedだったのだろうが、あの肉はどうだったのかな?

 また、この物語の中で、主人公のインガルス一家が、大草原で焚火を囲み、カウボーイに貰ったステーキを食べるシーンがあり、それがものすごく美味しそうで憧れたものだ。それも先の牛肉がおいしいと思った背景にあったかもしれない…。私がメープルシロップ好きなのは、完全にこのシリーズの影響である(『大きな森の小さな家』)。

 ちょっと話がそれたが、今回食べた肉は脂肪も少なく、高級和牛の箸でちぎれるような肉質の柔らかさを求める向きには適わないとは思うが、ステーキはワイルドで行こう!という人には良いかと思う。

 肉で思い出したのだが、私の整体の師匠は、若い時、朝からステーキを食べていた時期があると言っていた。先生は10代の時、あまり栄養状態が良くなく、体も十分ではなかったので、その時期、体も鍛錬して発達を取り戻していたのだそうだ。肉を食べるだけでなく、味覚の発達も心掛けていたという。

 よく25~28歳で体の成長が止まれば、後は老化に向かうばかりと言われるが、そうとばかりは言えない。発達に部分的な遅れがある人というのは意外と多く、特に腰椎と骨盤部はそれが目立つが、自分の要求をあきらめる癖がついていると、そういう傾向がある。

 しかし、人間の体は使えば発達する。成長期が終わっても、ある程度は取り戻すことが可能なのだ。その時々の要求というものを感じ、自分で充たしていくことは、自分で自分を育てていくことにもつながる。

 私は普段、野菜中心の食生活だし、量がやや多すぎたこともあって、しばらくステーキはいいかなという気になっているけれど、子ども時代のしあわせな時間を思い出すことができた。大人になっても、そういう思い出が自分を支え続けるのだと思う。

★今回学んだ調理ポイント

ステーキ肉にオリーブオイルをかけてから焼くと、おいしく焼ける。塩コショウは焼き上がった後の方が良い。

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