アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

野口整体を探究・実践する「整体生活」について

鼻づまり体操の秘密

 今月に入ってから、世界的に新型コロナウイルス感染者は減少に転じ、日本の首都圏でもかなり減少してきている。

 コロナ禍で、インフルエンザをはじめとする感染症は軒並み減少し、日本に限って言えば死者全体の人数までが例年より減っているというニュースを読んだ。何だかなあ…。

 しかし、花粉症はあまり関係ないようで、先日、ある人の相談を受け「鼻づまり体操(ちくのう症体操)」を教える機会があった。

 この体操を最初に知ったきっかけは、小学校の5・6年生位の時、テレビである医師が「鼻詰まりを治す体操」として紹介しているのを見たことだった。

 私はそのぐらいの年齢で花粉症が始まったので、鼻が詰まって苦しい時に試してみたところ、効果はてきめんだった。また小学校六年の時、私は風邪をきっかけにちくのう症のような状態が二か月ほど続いたことがあるが、それもこの体操で乗り切った。

 病院で薬も出されていたが、私はこっそり学校のゴミ箱に薬を全部捨てた。これを飲んではいけない、このひどい鼻水を止めてはいけない、と直感したからだ。

 実際、経過してから子ども的な夢見の意識が、はっきりした意識に変わったと思う。おそらく思春期に入る準備段階で必要な体の過程だったのだろう。体の勘というのはすごいもので、子どもの小さなレジスタンスには大事なことがかくれていることがある。私はそれが「野性」というものだと思う。

 古代ギリシアの医師ヒポクラテスは「脳から排出される粘液は、鼻から鼻水として排泄される」と言っているが、子どもの時の自分の実感としては「本当ではないか」と思ってしまう。現代の生理学では違うのだろうけど。

 また当時、私は体操と言えば体育の時の体操しか知らず、症状が治る体操なんて初めての体験だったので、「すごい!といたく感動してしまい、それ以来、風邪や花粉症などで鼻が詰まるとこの体操をやるようになった。

 これが野口整体の体操であると知ったのは、整体を始めてからのことで、知った時は本当に驚いた。テレビで見た医師は野口整体の話をしていなかったと思うのだが…子どもだったから、私が聞いていなかったのかもしれない。

 しかし、整体を本格的に勉強するようになってからは、首や頭、顔の処(ポイント)を愉気することを覚え、私はこの体操をやらなくなっていた。

 それが先日、教える機会があったことで、この「鼻づまり体操」を改めて見直してみようと思った。(実技編は明日公開予定)

 11歳の子どもがテレビで一回見ただけでできるような簡単な体操だが、今改めて見直してみると、脚の運動、骨盤部と腰椎への働きかけがしっかりできることに感心してしまう。鼻は顔にあるけれど、機能的には下体の調整が大切なのだ。

(この体操は体の硬張りが強い人には結構大変で、刺激もそれなりにあるので、無理がかからないように注意。)

 でも、『整体入門』には「食べ過ぎ体操」などの体操や整体体操が紹介されているが、この体操はなかったし、あまり知られていないかもしれない。

 体調を整えるための体操というのは、これまたヒポクラテスが始めたとされており、野口晴哉は若い時の文章で、ヒポクラテスが好きだと書いている。

 ただ、これまで医療的な体操と言うと、膝痛・腰痛、肩こりなど、骨格筋系を伸ばすストレッチ、または弱った筋力を高める、鍛えるという範囲のものが多かった。でも、最近は頭痛、また心疾患や呼吸器疾患のための体操というのも勧められるようになってきているのは良い傾向だと思う。

 この「鼻づまり体操」は、終わった後に骨盤部から背骨全体が伸びる感じとともに頭がすっきりするのが非常にいい。また、自分で自分の体を整える、つまり自分で自分の体に主体的にコミットしていくことを教えるという意味では、体操は手技的なアプローチより優れている面がある。

「子ども時代には、未来が飛び込んでくる瞬間が必ずある」という誰かの言葉を、『世界の子どもたち』(UNICEF)という写真集で読んだことがあるが、この体操を通じて、野口整体に間接的に出会っていたんだな…と思うと感慨深い。そして改めて、この体操の中にある「整体らしさ」を再発見することができた。