アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

整体生活・野口整体と生きることをひとつに

要求と脾臓との関係

 一月終わりからもう花粉症的症状が始まった。花粉に対するアレルギーなのか、春の体になる準備なのか分からないのだが(多分、春先は過敏反応傾向になるからだと思う)、症状の強弱はあっても毎年恒例になっている。

 私はもともと春の変動(骨盤の動き)が大きい方で、整体を始める以前は、今の時期になると、夜、微熱が出たりしていた時代もある。しかし、整体を通じて、この時期の自分の扱い方、どういう時に症状が強くなるか、などが分かってきたせいか、苦にならなくなってきた。

 それで私は、毎年、ゆずマーマレードか金柑の蜜煮を蜂蜜入りで作ることにしている。普段、食べたいわけではないのに、この時期になると食べたくなり、食べると経過が楽になるのだ。

 甘く、見栄え良く品種改良されたものより、できるだけ在来種で香りの良いものを探して、ゆでこぼしたりしないで作るのが良いと自分では思っている。

 昨年末はいい柚子に出会えなかったので、リンゴジャムをつくったのだが、つい先日、いい金柑を見つけることができ、蜜煮を作った。やっぱり私はリンゴより柑橘類だなあ、と感心した。

 前に住んでいた所では、日曜日になると農家の市場があったり、無人販売があったりして、要求を感じた時、理想的なもの(柑橘類、山菜・野菜など)を探すのが容易だった。

 しかし、今住んでいるところは少々都会なので「どうしようかな」と思ったのだが、昨年も今年も何とかなっている。自分に必要なものは、出会えるようにできているのかもしれない。

 まあ、こういうことの効果のほどは人によって違うので、花粉症のある人は、要求をレーダーにして適ったものを探してみてほしい。

 前回、脾臓に興味を持っていると書いたが、もともとは、心臓と血液の中毒・質・血行の状態(D4とD9,D7,D8)を一つとして観る野口整体操法(体を整える手技)があることと、師匠の体の異変に最初に気づいたのが胸椎7番という脾臓に関連する椎骨に触った時だったというのがきっかけだった。

 そして、COVID-19の重症者(死亡者)の解剖所見では、脾臓の萎縮が指摘されていること、またシュタイナーの身体観、東洋医学の身体観での脾臓の存在意味を知ってさらに関心を深め、医学的にも勉強している。

 近年、脾臓の重要性が注目され、免疫系での重要性、心筋梗塞が起きた時に脾臓から心臓を修復する単球(白血球の一種)が大量にできることなどが分かっている。心臓と脾臓は深いつながりがあるようだ。

 シュタイナーは「霊視」とか、「オカルト医学」などと言うので、どうも怪しい感じがつきまとうのだが、脾臓について興味深いことを言っているのでちょっとだけ紹介しておきたい。(PDF「精神科学と医学」第16講  1920年

皆さんは、脾臓のあたりを弱くマッサージすることがとりもなおさず人間の本能活動に対して均衡をとるように作用する、ということを確認することができるでしょう。

脾臓のあたりをそっとマッサージすると、人間はある種のしかたで、より良い本能を獲得し、つまりたとえばその人に合った食物を容易に発見することができて、生体組織のなかでその人に役立っているものやそうでないものに対して健全な関係を持つことができるのです。

脾臓の機能は、人間が活動するがゆえに、まさにこの外的な消耗させる活動によってきわめて強く影響を及ぼされています。

人間は、ある種の動物たちとは異なり、横たわって消化を外的活動によって妨げないようにすることで健康を維持するということをしません。

…人間は、外的、神経症的な慌ただしい活動のなかにあるときは、脾臓の働きをいたわりません。その結果、そもそも文化人においては全般に脾臓の働きが次第に大変異常なものになっていくわけです。

   ここでシュタイナーが言う「マッサージ」というのは簡単に言うと「手当て(愉気)」のようなことで、こうして無意識的臓器である脾臓に意識の光を当てるのだと言う。そして、(ちょっと整体的表現になっているが)、脾臓は生命の内的な秩序を保つ中心であり、意識に偏った生活による秩序の乱れを整えることができると言う。

 それはともかくとして、私が大切だと思うのは、脾臓の働きが良くなることで、整体で言うところの「要求」がはっきりしてくること、意識と無意識の統合がはかられること、外界から取り入れるものとの関係が健全になっていくということだ。

 新型コロナウイルスが初めて日本に上陸した時のブログで、

ほうぼうの土地や動植物を何らかの目的で利用したり、食べたりする場合にはまず、土地や動植物の夢見に入り込む術を身につけなければならないんじゃ。

白人たちは、そんなことはいっさいしない。だから、病気になったり、気がふれたりして、身を滅ぼしてしまうのじゃよ。

ロバート・ローラー(著)長尾力(訳)「アボリジニの世界」

  というアボリジニの言葉を引用した。

 現代人の脾臓の機能低下と、アボリジニのこの言葉。それから心臓と脾臓の関係。何か連環しているような気がする。

…やっぱり中途半端、まとまらなかった。またいずれ。