アルダブラゾウガメ玄の生活 ― 気は心と体をつなぐもの

野口整体を探究・実践する「整体生活」について

しつこく新型コロナウイルスについて考える

 

 緊急事態宣言が出ている時より、少し前までの方が事態は良くなかったように思うのだが、新型コロナウイルスの話題はもう飽きてきたと見えて、ニュースなどでも取り上げ方が「またですか」みたいな感じになって来ている。

「なんのこっちゃ…」と思うけれど、以前より冷静に感染症の話ができるようになってきたようにも思うので、新型コロナウイルスについてもう一度考えてみた。

  野口整体創始者野口晴哉師は晩年、「がんの時代が終わったら精神疾患の時代が来る」と言った。これは「身体的な病症を抑え込むと、中枢(脳・脊髄神経)に入っていく」という意味と、「がんの治療法が確立したら、精神疾患という治療法が確立していない病が増える」という意味がある。

『病気の社会史』などで知られる医療史家、故・立川昭二氏は生前、この予言にとても関心を持っていて、立川先生は医大で医師たちから「先生、次はどんな病気が流行るんですか」とよく聞かれるんだ…と言っていた。何でも研究費の予算獲得に大きく関わるそうなのだ。

 これについての詳しい資料があったら見せてほしいと頼まれていたのに、立川先生は私が約束を果たさない内に亡くなってしまった。申し訳ありません。

 それにしても今、近代初頭さながらにパンデミックが起きるとは、立川先生もあの世でさぞや驚いているだろうと思う。私自身、パンデミックというものを実際経験するとは思っていなかったし、本当についこの間まで、感染症の時代は終わった、現代は生活習慣病の時代だと言われていたのだから。

 でもこの生活習慣病が基礎疾患となってCovid-19の経過を悪くしているし、常用薬がある人が増えていること、薬を飲むことが安直になっていることも、感染症の流行や悪化と関係がないとは言えない。

 また、新型コロナウイルスは、自然界の健全な表土の上では長生きできないのに、プラスチックや金属の人工物の上では数日間も生きているという。人工的世界に適応した結果なのだろう。

 私の持っている資料に、昭和40年代の香港インフルエンザ流行時の講義内容があり、野口先生は戦前のスペイン・インフルエンザと戦後のインフルエンザについて、「黄色人種は白人種よりインフルエンザに強いと思う」と述べている。

 新型コロナウイルスでも、東アジア全域で死亡率や発症率が低く、医療制度が遅れている地域もそうでない地域も同様だ。インドも感染者数は多いが、欧米より死亡率が低いという。やはり東洋はインドまでなのか?ファクターXとして注目されているが、どうなのか?

 ただ、イギリスやアメリカなどでは、人種間にそれほど差はないという調査もあり、ヨーロッパやアメリカの方が異常(肥満や基礎疾患などの影響で)なのかもしれない。

 また、スウェーデンにみられるように、ヨーロッパでは、高齢者の死の受け入れ方が、とにかくICUに入れて死なせないようにする、という考え方ではないことも死亡率と関係があるだろう。一番、異常感があるのはアメリカかな…。

 今、気になるのは、野口先生が「スペイン・インフルエンザの経験では、流行が最初に起きた都市部よりも、その後に流行した地方の方がひどい状況だった」、「感染症の拡大と重症化には、集団心理的な要素がかなり関与している」と言っていることだ。

 報道されている地方での感染者(さらには東京から帰省した人にまで)に対する恐怖と不安に満ちた反応をみると、もし流行が地方に拡大したら、混乱は首都圏の比ではないのではないだろうか。さらにもっと言うと、これが重症化する人が増える要因になるかもしれない。

 もともと新型コロナウイルスは、恐ろしいウイルスではないのに、重症化する、死ぬという思い込みや、心理的な混乱が、ウイルスに対する免疫反応にまで影響してしまうことがある。

 また、ウイルスの力だけでパンデミックが起きたりすることはない、ということを忘れてはならないと思う。